(1) 中輪東京式方言である幡多の話者で見られたアクセント対立について,内輪東京式方言話者である筆者の母で調査したが,「[ワン]ワンと(ほえる)」,「[ワ]ンワンが(おる)」,「[ハイ]ハイする」,「[ハ]イハイが(上手)」となり,副詞と名詞で予想通りのアクセント対立があった。幡多の話者の場合,「[ワン]ワンと(ほえる)」,「[ワ]ンワンが(おる)」,「[ハ]イハイが(上手)」については調査しているが,「[ハイ]ハイする」は調査漏れとなっている。これらの語が独自の語類をなすという考えが無かったため。2018年3月22日【※「高知県伊豆田神社付近の方言の4拍形容詞のアクセント資料」にこの旨記載した。】
(2) 高知県幡多郡三原村成山の話者の4拍形容詞のリスト 2018年10月7日【※「高知県伊豆田神社付近の方言の4拍形容詞のアクセント資料」にこの旨記載した。】
(3) 高知県土佐清水市下ノ加江市野々方言についての補足 2018年12月25日【※「高知県伊豆田神社付近の方言の4拍形容詞のアクセント資料」にこの旨記載した。】
名詞をひたすら調べていますが、「毛織り」を調べた時、[ケオリ]]、[ケオリ]][が(強調の自由異音)となったので、再度聞いたら、[ケオリ]が、となり、普通の音も出ました。「薬」で調べても強調の自由異音は可能でした。この2語だけ調べて、他の拍数の語ではまだ調べていません。もう幡多の論文はアクセプトされて修正出来ないので、次の機会があればそこに書くかもしれませんが、例によって音韻生存の話なので、敢えて書かないかもしれません。
(4) オノマトペ述語文
東京大学学術機関リポジトリでの閲覧数を見ると、次のようになっている(2022年1月24日時点)。
つまり、最初に公表した「岡山県妹尾方言におけるジャとナの含意」が一番閲覧数が多いわけで、その後の音声音韻に関する論文よりもずっと多い。2位の論文も文法の論文なので、文法研究が評価されているということが分かった(笑)。2位の論文はともかく、1位の論文はまだ初心者もいいところの時代に書いたもので、何故?という思いが強かったので、あらためて読み直してみた。その結果、脚注で触れた「オノマトペ述語文」に興味を持つ人が多かったのではないかと思い至った。オノマトペ述語文については以下で顛末を説明しておきたい。
先ずはオノマトペ述語文に関して投稿した論文と査読結果をそのまま以下に晒し上げる(※関係者から苦情が来たら撤去する可能性がある)。内容的には非常に未熟な論文なので、とても人に見せられるものではないのだが、面白そうだから読みたいという好奇心の強い方を対象とする。読んで、時間の無駄だったとしても、既にここで警告しているので、苦情は受け付けない。
この論文について、言語学科の先生方などからは、「単に特定の文法理論の定義の都合でオノマトペ述語文は認められないとなっているだけで、査読者の先生方の間で実証的に根拠のある議論があったとは思えなかった」とか、「この論文は杜撰だから駄目だったが、着眼点は良かった」とか、「私も高山君の意味の内省結果と同じものを持っている」とか、好評をいただいた。
つまり何が起こったかというと、オノマトペ述語文などという大それたことを提唱するのであれば、文法理論をイチから構築して、他の文法理論と比較検討して、自分の文法理論の優位性を主張するぐらいのことはやらなければダメだよ、ということだったのではないかと思う。それで、私は正直この問題にほとんど興味が無かったので、やる気が失せたのだ。
私の当時のスタンスというのは、「自分は今、「風が吹く。ヒューヒュー。」という調査文で調査をしているのだが、これの文法的な位置付けはどうなっているのか、文法書に書いていないじゃないか!学者の怠慢だ!」ということに尽きる。従って、この問題に関して私がこれ以上研究することはないので、やりたい人がやっていただいて結構である。
(5) 平井卓也氏(香川県高松市)の「皆さん」の「み」の音声(『日曜討論(2023年4月30日)』)
「皆さんに、それなりのメリットが、出来るような形に、」
https://drive.google.com/file/d/154pFq7TT9rIwrNbN_IKAPyfgwFHUMCgP/view?usp=share_link